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ふきのとう~栄養・下ごしらえ・料理~

春の訪れを告げるふきのとう。収穫期間が限られますので、日常的に食すものではありませんが、まさに季節を感じる食品です。ふきのとうの栄養、そして独特の苦みには、意味があります。

1.栄養

ふきのとうは、早春の根元から生え出る花蕾、ふきの花穂のことをいいます。雌雄異株で、雄の花は淡い黄色。雌は白色です。花が開いておらず蕾のものを食しましょう。根には毒があるので、注意が必要です。アレルギー反応を起こすこともあるようです。
栄養や味の特徴としては、まず独特の香りと苦味があります。栄養素は、カロチン、ビタミンB1とB2、カリウムなどです。さらに、特有のほろ苦さのもとであるポリフェノール化合物のクロロゲン酸が含まれます。処理の大変さと苦みがあるにもかかわらず、長く日本で食され続ける理由は、この豊富な栄養にあることを先人たちは知っていたのでしょう。
春の山菜、野菜にえぐみや苦みには、消化を助けたり、新陳代謝を促す役割があると昔から言われています。動物が冬の寒さに耐え、じっとしている状態は、新陳代謝が他の季節よりは悪くなり、老廃物も溜まります。春を迎え、いよいよ活動の時期になると、この苦みの成分であるポリフェノール化合物たちが、代謝をあげ老廃物を排泄し、カラダを目覚めさせてくれます。まさに私たちのカラダを“春モード”に変えてくれる役目があるのです。実に自然は絶妙のバランスで、成り立っていることが分かりますね。私たち人間、動物も、そして植物も自然と調和しながら生きている証です。
また、味覚は記憶と結びついているので、単純に苦みが私たちの気分を変えてくれることも大きな意味があります。食経験を重ねて年を重ねると、春うららなか日に、苦いお野菜や山菜の味を口にすると、「春だなぁ」という気持ちになることは誰しもがあるでしょう。

2.下処理とふきのとうのお料理

ふきのとうの下処理

①外側の葉と付け根の色が変わっている部分を切り取ります。
 ※野生のものは、外側の皮は、市販のは柔らかいのもあるので、様子を見ながらとる。

②塩を一つまみ入れた熱湯で2~3分茹で、水気を切ります。

③水につけ、苦みをとります。好みや料理によって、漬ける時間を調整するとよいでしょう。
※漬ける時間の目安としては、市販の物であれば10分程度になります。お浸しなどシンプルに頂くものは、少し長めにつけて苦みをとり、ふき味噌など味が濃くなるものは多少苦みがあったほうが良いかもしれません。

ふきのとうのお料理

天ぷらやお浸し、和え物、ふき味噌が一般的です。ふき味噌は、いろいろな食材に付けて食べることができます。独特の苦みが“大人の味”という感じですね、残念ながら子供には不向きですが。日本酒などにも合うでしょう。おにぎりや田楽につけたり、味噌汁に入れたり、ちょっと変わりネタで、野菜も入れたお魚やお肉のホイル焼きにつけたり、パスタにするのも良いでしょう。

3.ふき味噌の作り方


 ふきのとう 10個程
 油(ごま油など) 大さじ1~2杯
 味噌 大さじ3~5
 みりん 大さじ1
 酒  大さじ1
 砂糖 小さじ2~大さじ1

 ①ふきのとうは洗って、手早く刻んで、フライパンで油で炒める。
  ※上記の下処理したものを使う場合、苦みが和らぎます。下処理にせずに作る場合は
   苦みが強くなるので、少し多めの油でしっかりと炒めるとよいでしょう。
 
 ②他の調味料をボールなどに混ぜ合わせておいたものを、①に加えて炒める。練るように炒めて
  程よい硬さになったら、完成。
 
 ◎粗熱をとり、冷蔵庫で保存が可能です。
  2週間ほどは持ちますが、早めに食すのがよいでしょう。

 ◎人によっては、ナッツや小魚、鰹節などを入れる方もいます。
コクや旨味が足されて、また違った楽しみ方ができるかもしれません。

まとめ

春の短い期間でしか食べることが出来ない、ある意味、貴重な食品です。四季があって、豊かな山がまだある日本ならではの食品とも言えるでしょう。そんな恵まれた自然を身近に感じることができることに感謝しつつ、自然を大切にする気持ちも忘れずにいたいものです。そんな背景がたくさんつまったふきのとうを是非、春に楽しんでみて下さい。
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