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絵本で楽しく学ぶ食育!「からすのパン屋さん」

1973年が初版という、ロングセラーの「からすのパン屋さん」。
この本は、幼少期に何度も読んだ大好きな本でした。
理屈ではなく、単純にページを開くのが楽しくて飽きない絵本なのですが、
この本の素晴らしさを「食育」の目線でみていきたいと思います。

1.五感を刺激し想像力を育てる食育

「からすのパン屋さん」の想像力を育てるストーリーとイラストの良さを大人になって改めて感じました。某小学校のPTAの食育講演にお邪魔した際に図書館でこの本のビックサイズバージョンと出会った時です。大型本が1997年に出版されたようです。長辺が58㎝もあるこの本の中に、パンがたくさん並べられているページを見た時、改めて子どもの想像力を育むことにつながると感じました。

様々な菓子パン・総菜パンが並べられているのですが、これを見ながら「これは何がはいっているのかな?」、「どんな味がするかな?」、「匂いは?」、「食感はどんな感じかな。ふわふわ?サクサク?カリッとしている?」などと、五感を使って子供自身が考え、想像力が養えるシーンだと思いました。
親御さんなどの読み手は、子供の思考を刺激するような質問をしながら読むのも良いと思います。「あなたはどんなパンをつくってみたい?」、「この絵の中にないもので、何が食べたい?」などと。私は姉妹でこの本を読みましたが、「私は、これとこれを買う!」、「ずるい!私もそれにしたかった!」などと姉妹やお友達と一緒に読みながら、譲り合うことなども学んだような思い出もあります。

パンを作る工程では、生地を捏ねる触感、パンを運ぶ時の重さ、釜の熱などが想像できるイラストや文章。森じゅうにパンの香ばしい匂いが漂ったり、たくさんの鳥が集まって行列を作るシーン、火事騒ぎのシーンでは、その賑わいや騒がしさなどの感覚が、読み手にありありと伝わる描写が本当に素晴らしいと思います。

2.食への興味・関心が高まるシリーズ、その後の「4冊」

人気となった最初の「からすのパン屋さん」が、その後2013年にシリーズ化されました。

子供だった4羽が巣立ち、それぞれが独立してお店を出す様子が物語となり、それぞれ一冊ずつ出版されています。
少し理屈っぽいかもしれませんが、その4つのお店のチョイスも食育目線で見るとバランスがとれていると感じます。

・チョコちゃん:お菓子屋さん
・リンゴちゃん:八百屋さん
・レモンちゃん:天ぷら屋さん
・お餅ちゃん :お蕎麦屋さん

主食(蕎麦)、主菜(天ぷら)、副菜(野菜)、デザート(お菓子)の4つが揃っています。栄養や食事バランスのことを子供に諭すためのものではないでしょうけれど、自然とバランスのとれたこのチョイスが、栄養士目線でみると食事指導の基本になっていることに改めて気が付きました。
さらに、ちょっと目線を変えて深読みすると、食糧問題にもつながると想像してしまいました。4羽の両親はパン屋さんをやっていますので、家族みんなの5つのお店があれば、何があっても食に困らない一家かもしれないと、現実的なことまでイメージしてしまいました。 

もう一つ気が付いたのが和食屋さんのチョイスについてです。パン屋さんは洋食であったのに対し、天ぷら屋とお蕎麦屋は和食です。子供向けとなると、どうしても人気の洋食に偏り、カレー屋さんとかハンバーグ屋さんなどになりそうですが、敢えてここで和食というのも、個人的に好感を持ちました。正直、子どもの頃に日々のメニューで天ぷらやお蕎麦がでてきても嬉しくない子供のほうが多いと思います。しかし、この絵本をみていると天ぷらやお蕎麦が美味しそうに見えてくるのです。物語と一緒に和食に興味を持ってもらう、「美味しそう!」と感じてもらうことに実は大きな意味があると思いました。 

因みに、4羽の子供からすの名前が、チョコ、リンゴ、お餅、レモン、という食べ物の名前というのも良いですね。
また、作者によると2013年に出版されたその後の「4冊」は、食だけではなく、実は経済や商業について小さな学びがあることもポイントだそうです。

食への関心を高めつつ、家族愛やその他いろんな要素が含まれている「からすのパン屋さんシリーズ」。ぜひ、子供さんと一緒に理屈抜きにもう一度楽しんでみてはいかがでしょうか。または、大人になった今、子供時代とは違った目線で読んで見るのも面白いと思います。
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