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絵本で楽しく学べる食育!「こまったさん・わかったさんシリーズ」

小学生の頃に図書館で借りてきて読んでいたのが、「こまったさんシリーズ」でした。
主人公のこまったさんが、色々なお料理をする様子が描かれています。
特徴的なのは、子供でも分かるレシピが掲載されていることです。
10歳に満たない子供でも楽しく読みながら、調理について学べる“子供版料理本”のような児童書です。

1.“作りたくなる”自主性を育む本

小学生でレシピ本を自ら開くということは、あまりないと思いますが、この絵本は、物語を読みながら自然とレシピにまで触れる機会が得られます。今思うと、当時、児童書にレシピが載っているというのは斬新だったと思います。

私の子供の頃を振り返ると、読んだ後は必ず作ってみたくなりました。自立を重んじる母に言うと「作ってみたら」と返答されていたことをよく覚えています。材料を揃えてもらったり、手伝ってもらうこともありましたが、ほとんどが自分で作っていた記憶があります。失敗もよくしましたが、上手く作れなかった時に、理由を考えたり工夫したことも子供ながらありました。そんな自主性を促してくれる、素晴らしい児童書と言えます。 

成長して、親などの周りから強要されるのではなく、幼い頃から調理への関心・機会を持つことが大切だと思います。子供の頃は、脳が柔軟で手先の作業も幼い頃の経験が将来に影響します。大人になって、いざ、料理が必要になった時、子供の頃に経験したかしないかは非常に大きな差となって出てくることを、食育関連の料理教室やイベントで常々感じています。その為、自然と無理なく楽しく調理に触れる機会が子供の頃にあることは、とても大切なことなのです。

この児童書の素晴らしいところは、「やってみたい」と本人自らが思うようになるところです。料理に限らず、自主性を育む意味でも、本当に良書です。シリーズ全部で10冊あり、それぞれに料理が異なります。1冊気に入ると、他の9冊も読んでみたくなります。

2.「こまったさんシリーズ」食事版

「こまったさんシリーズ」では、こまったさんが「こまったわ」と言いながらとちょっとしたトラブルと一緒に料理を作り上げていく過程が楽しく描かれています。更にシリーズの各メニューが、スパゲッティ―、カレー、ハンバーグ、オムレツ、サラダ、グラタン、サンドイッチ、コロッケ、ラーメン、シチューと、どれも子供が好きな家庭料理であることが惹き付けられるポイントだと思います。
身近な料理、単純に「食べたいなぁ」と思うメニューから「食や調理」への関心が高まるのも良いところです。

私は姉妹と作ることが多かったのですが、一人で作っても、親と作っても、それぞれに色々な学びがあり、親子や家族のコミュニケーションの場にもなると思います。さらに今考えると、料理を作ることや片付けの大変さ、いつも美味しい料理を作ってくれる親への感謝の気持ち、食材やその扱い方などを、子供なりに自然と学んでいたのだと思います。

苦もなく自然にできる素晴らしい食育ではないでしょうか。

3.「わかったさんシリーズ」お菓子(デザート)版

食の分野を生業とするようになり、仕事を通して発見したのですが、「こまったさんシリーズ」に加えて「わかったさんシリーズ」が出版されていたのです。「わかったさんシリーズ」は、なんとお菓子(デザート)版です。

もし子供の頃に読んでいたら、「こまったさん」とは違った感覚で読んでいたのでは、と想像が膨らみます。子供にとってお菓子はとても夢があるものです。おそらくワクワクした気持ちで作ってみたいという衝動にかられていたと思います。

「こまったさんシリーズ」と同様に10冊あり、クッキー、シュークリーム、ドーナツ、アップルパイ、ホットケーキ、プリン、アイスクリーム、ショートケーキ、クレープ、マドレーヌがあります。どれも身近なお菓子で、食べたくなるものばかりです。シュークリームやショートケーキなど、子供にとってはハードルが高いメニューもあります。「シュークリームが膨らまない」なんてことも起きそうですが、失敗しながら、どうして膨らまないのか疑問に思ったりすることも、勉強になると思います。

まとめ

「こまったさん」・「わかったさん」のどちらでも良いので、作ってみたいと思える本、もしくは興味のある箇所から入門書として使ってみるのはいかがでしょうか。低学年にはサポートが必要だと思いますが、高学年になれば一人でもトライできるメニューもありますので、是非、お子さんと一緒に、またはお子さんに読ませてほしい児童書です。
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