三島有紀子監督、大泉洋さんと原田知世さんが主演の「しあわせのパン」。心温まるストーリーと、何といっても映画全全体と雰囲気が素敵。三島監督ならでは世界です。主人公たちの生活、自然、食べ物、人々の触れ合いなど、シンプルに難しく考えずにゆっくりと気楽に楽しむ見方もありますが、自身の人生や価値観を重ねて観ることもできる作品だと思います。
「お洒落女子」「スローライフ好き」が見る映画などと言われることもあるようですが、それだけではないメッセージが込められていると思います。
1.テーマは「大切なもの」
テーマは「あなたにとって本当に大切なのはなに?」
今の世の中、ある意味、生きにくいこの時代で「本当に大切なのは、なあに?」と自分に問いかけること、それを明確にすることは、簡単なようで簡単でない気がします。
この映画の中で、主人公の「大切なもの」の中の一つに「食」も重要な要素としてあり、心通わせる大切なものとして表現されています。主人公夫妻が営む「カフェ 兼 パン屋 兼 ペンション」で繰り広げられる物語。夫婦の生き方と訪れるお客様のそれぞれの人生を通して、「どういう人生を送るのか」=「どんな毎日の連続にするか」ということを観ている人に考えさせるような作品です。エンディングで流れるテーマソング「ひとつだけ」はまさにこの映画のテーマを謳っています。
原田知世さん演じるカフェの奥さんは、都会で心病んでしまい、大泉洋さん演じる旦那さんと北海道に移り住みます。「欲しいものはたくさんあるけれど、本当に僕が欲しいのは、君の笑顔」=「たくさんのものではなく、一番は、心豊かにささやかな日々を楽しめること」だということでしょう。それは、この夫婦だけの問題ではなく、ここを訪れるお客様、そして映画を観ている人たちにも共通して言える「本当に大切なもの」なのではないでしょうか。
ものがあふれ、一見すると不自由しない現代社会ですが、この映画は、ゆっくりと流れる時間を感じさせ、生活の一つ一つを丁寧に味わうことの中に、「大切なもの」があることを気付かせてくれます。
映画の構成は、人生における不条理や苦しみを、3組のお客様を通し、3つの小さな物語として描写されています。夏→秋→冬と季節ごとに1組のお客様を通して、それぞれの人生のステージにおける多くの人が抱える問題が描かれます。夏は青年期、秋は中年期、冬は更年期と人の一生と重なります。そして最後は春で、夫婦の新たな生活がスタートする明るく希望に満ちたシーンで終わります。
今の世の中、ある意味、生きにくいこの時代で「本当に大切なのは、なあに?」と自分に問いかけること、それを明確にすることは、簡単なようで簡単でない気がします。
この映画の中で、主人公の「大切なもの」の中の一つに「食」も重要な要素としてあり、心通わせる大切なものとして表現されています。主人公夫妻が営む「カフェ 兼 パン屋 兼 ペンション」で繰り広げられる物語。夫婦の生き方と訪れるお客様のそれぞれの人生を通して、「どういう人生を送るのか」=「どんな毎日の連続にするか」ということを観ている人に考えさせるような作品です。エンディングで流れるテーマソング「ひとつだけ」はまさにこの映画のテーマを謳っています。
原田知世さん演じるカフェの奥さんは、都会で心病んでしまい、大泉洋さん演じる旦那さんと北海道に移り住みます。「欲しいものはたくさんあるけれど、本当に僕が欲しいのは、君の笑顔」=「たくさんのものではなく、一番は、心豊かにささやかな日々を楽しめること」だということでしょう。それは、この夫婦だけの問題ではなく、ここを訪れるお客様、そして映画を観ている人たちにも共通して言える「本当に大切なもの」なのではないでしょうか。
ものがあふれ、一見すると不自由しない現代社会ですが、この映画は、ゆっくりと流れる時間を感じさせ、生活の一つ一つを丁寧に味わうことの中に、「大切なもの」があることを気付かせてくれます。
映画の構成は、人生における不条理や苦しみを、3組のお客様を通し、3つの小さな物語として描写されています。夏→秋→冬と季節ごとに1組のお客様を通して、それぞれの人生のステージにおける多くの人が抱える問題が描かれます。夏は青年期、秋は中年期、冬は更年期と人の一生と重なります。そして最後は春で、夫婦の新たな生活がスタートする明るく希望に満ちたシーンで終わります。
2.「大切なもの」の中の大事な要素である“食”に込めたれたメッセージ
3つの物語で、お客様の心に静かに優しく寄り添う夫妻のおもてなしには、やはり「食」があります。三島監督の映画では、「食」がとても素敵に、そして大切な意味をもって登場します。美味しそうで、楽しそうで、綺麗なものばかりで食欲もそそられます。「食」は、人生において大切な物、不可欠な物、カラダだけではなく心を満たすものとして描かれます。
“夏”は、誰もが経験したり感じたことのある青春時代の恋愛や自身の歩むべき道について、登場人物が向き合う物語です。ここで「お祝いや励ますための食」、「シンプルで自然と調和した食=平凡の素晴らしさ」が描かれていると思います。
“秋”は、少し悲しいストーリーなのですが、そこには「思い出の料理」があり、主人公にとって愛も苦難も含まれる大切な料理として登場します。そして、思い出の料理となる“かぼちゃのスープ”を食べながら、突きつけられた人生の理不尽さに戸惑いながらも試練を乗り越える物語です。
“冬”は、誰もが避けられない「老いと死」について「食」がでてきます。老いても人間の本能でもある「食の喜び」があり、「分け合う食(=生活)」「食を共に作る喜び」などがメッセージとしてある物語だと思います。
三島監督独特のファンタジー色が入っていて、どことなく非現実的な夢のような綺麗さが、観る人によっては好まない方もいるようです。しかし同時に多くの人が経験するような“人生の厳しさ”も描かれてます。厳しさに反して、美しく夢のように描かれる生活に、見る者の憧れや理想を重ね合わせながら楽しめる、または自分が求めるものが何であるかの答えに導いてくれるような作品だと思います。
誰にでも起きうる逃れられない苦しみがあると同時に、楽しく美しいときも人生にはあります。その両方を観る人がどう捉えるかが問われている気がします。「食」を含めた日々の些細なこと、目の前の小さな幸せの有り難さを感じること、そう感じられる生活が、実は生きる上で最も「大切なもの」なのではないでしょうか。
“夏”は、誰もが経験したり感じたことのある青春時代の恋愛や自身の歩むべき道について、登場人物が向き合う物語です。ここで「お祝いや励ますための食」、「シンプルで自然と調和した食=平凡の素晴らしさ」が描かれていると思います。
“秋”は、少し悲しいストーリーなのですが、そこには「思い出の料理」があり、主人公にとって愛も苦難も含まれる大切な料理として登場します。そして、思い出の料理となる“かぼちゃのスープ”を食べながら、突きつけられた人生の理不尽さに戸惑いながらも試練を乗り越える物語です。
“冬”は、誰もが避けられない「老いと死」について「食」がでてきます。老いても人間の本能でもある「食の喜び」があり、「分け合う食(=生活)」「食を共に作る喜び」などがメッセージとしてある物語だと思います。
三島監督独特のファンタジー色が入っていて、どことなく非現実的な夢のような綺麗さが、観る人によっては好まない方もいるようです。しかし同時に多くの人が経験するような“人生の厳しさ”も描かれてます。厳しさに反して、美しく夢のように描かれる生活に、見る者の憧れや理想を重ね合わせながら楽しめる、または自分が求めるものが何であるかの答えに導いてくれるような作品だと思います。
誰にでも起きうる逃れられない苦しみがあると同時に、楽しく美しいときも人生にはあります。その両方を観る人がどう捉えるかが問われている気がします。「食」を含めた日々の些細なこと、目の前の小さな幸せの有り難さを感じること、そう感じられる生活が、実は生きる上で最も「大切なもの」なのではないでしょうか。
まとめ
一人でゆっくり、コーヒーや紅茶を飲みながら、またはパンをつまみながら観てはいかがでしょうか。または「大切な人」と観てみるのも良いでしょう。非日常的な美しい世界観が漂う映画の中に、それとは対象となる誰もが直面する人生の現実が描かれています。是非、じっくりと味わって下さい。